ダイエーのPBあかたまご、2個増量するメリット・デメリットとは?

ダイエーPBのあかたまご

 

※「アメリカ経済事情」に関しては、サイト「ウォール・ストリート・ジャーナルから見た起業のヒント」にて更新しております。今後、ryotarotakao.comでの更新は行いません。

 

冷蔵庫にあった卵を、卵保管室(卵を置く穴のある冷蔵庫の引き出し)に入れようとしたところ、どうしても入りません。ちなみに、卵保管室の穴のない場所に入れようとしました。通常、買った卵は上蓋だけ切り取り、下のプラスチックを付けたまま卵保管室に入れます。一回で済むからです。

 

通常これですんなり入るのですが、今回は入らない。そこで、その卵のパッケージを見ると、その理由がわかりました。入らない理由は、

 

2個増量されて12個入りだったから

 

です。通常卵と言えば、10個入り。それが、今回購入した「おいしくたべたい! あかたまごPLUS E」は、12個入りだったのです。卵の入ったプラスチック容器が、増量分だけ長くなっているので、10個入りの容器の入る卵保管室に入るわけがありません。

 

この商品は、ダイエーのPB商品。ダイエーがなぜ2個増量したのは、明白です。

 

割安感を出すため

 

に他なりません。卵は特売商品になりやすい商品のため、価格競争が激しい。そこで、単に値下げするのではなく、増量という方法を使って実質値下げに踏み切ったのだと思います。

 

増量による実質値下げには、単純値下げにはない次のようなメリットがあります。

 

1)商品単価が高くなることにより、ユニットあたりのオペレーションコストの低下。

2)価格競争を回避しやすくなる。

 

1について、卵を1パックレジに通すことを考えると、理解しやすいと思います。1パックをレジに通すのは、それが10個入りだろうが12個入りだろうが、コストはほぼ同じ。よって、12個入りの方が1個(ユニット)あたりのオペレーションコストが低くなります。

 

2については、次の事例を考えるとわかりやすいでしょう。1週間に卵を10個食べるとすると、6週間で60個になります。6週間で、10個入りの卵なら6回、12個入りなら5回を購入します。卵は価格競争が激しいので、1回ごとに競合品と価格比較されることになります。その価格比較は、10個入りなら6回、12個入りなら5回になります。つまり、12個入りならば、価格比較される回数が10個入りよりも1回少なくなり、その分価格競争を回避できることになります。これは、競合品に顧客を奪われることを防止することでもあり、顧客維持につながります。

 

ただし、次のようなデメリットがあるのも事実。どちらも、メーカー(鶏卵業者)ではなく、小売店(ダイエー)側のデメリットです。

 

3)需要の先食いに他ならず、期間あたりの卵トータルの売上が減少する。

4)来店頻度が落ち、販売機会を逃す。

 

3について、2の事例で考えると、10個入りを売ろうが、12個入りを売ろうが、6週間で売れる量は60個になります。増量商品は1個あたりの単価が低くなるので、増量を売ることにより、卵60個のトータル売上は、増量しない場合よりも低くなります。

 

4については、卵という商材の特質によるもの。卵は、賞味期限が比較的短く、購入頻度の高いので、来店客の購入確率が高い商品になります。卵を買うことが、来店動機の人も多いはずです。その卵を大容量(この場合は2個増量した12個入り)で売ることによって、卵の購入機会が減ります。それは、来店機会・来店頻度の減少に他ならず、販売機会を逃すことになります。

 

このメリット・デメリット天秤に掛けて、ダイエーは卵の増量に踏み切ったのでしょう。ただ、忘れては行けないのは、この卵は、

 

普通の卵ではなく付加価値の付いた卵

 

である点。いくらで販売されていたのかは知りませんが、一番売れる普通の卵よりも価格が高いのは間違いないでしょう。この高付加価値卵を増量して販売することにより、

 

トライアル購入を促す

 

効果が期待できます。高付加価値卵のおいしさに気づいてもらうことによって、これまでの普通の卵ユーザーを、高付加価値卵ユーザーに変えようという考えです。これがうまくいけば、卵の単価がアップし、ダイエーの利益率が改善します。このメリットも追加すれば、先ほどのデメリットは比較的小さくなるように感じます。うまくいくかどうかは、わかりませんが。

 

☆今日のまとめ☆

ダイエーがPBの高付加価値卵を増量するメリットは、単価アップによりオペレーションコストが下がることと、価格競争を回避しやすくなることである。

さらに、高付加価値卵のトライアル消費を促すことにより、普通の卵ユーザーを高付加価値卵ユーザーへとシフトさせ、単価をアップできるメリットは見逃せない。

一方で、トータルの卵売上が減少する、来店頻度が落ち販売機会を逃すというデメリットがある。

 

☆What to EAT Yesterday☆

昨日は豚しゃぶを食べました。

鍋の季節到来です。

野菜をたくさん食べられるのがいいですね。

 

 

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☆    今日のこぼれ話☆

記事で取り上げた卵のパッケージをよく見ると、生産者は広島県の農場でした。

広島からわざわざ運ぶほど、この卵には価値があるということでしょうか。

 

☆昨日の目標→その結果☆

◎朝6時に起きる→☓

◎毎日情報を発信する→○

◎毎日仕事以外の人に話し掛ける→◯

◎腕立て・腹筋30回→◯

◎自宅のある12階まで歩いて登る、または自転車を30分以上漕ぐ→◯

◎部屋や家の掃除をする→☓

◎営業日誌を付ける→☓

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