日本マクドナルドの売上が深刻なほど悪い理由(サービス編)
前回に引き続き、マクドナルドの売上不振の要因を考えたいと思います。今回は、サービス面から。これは、最近店舗を利用していないので、二次情報になるのですが、マクドナルドのサービスがかなり悪化しているのではないか、と感じます。その根拠は以下の通りです。
【マクドナルドのサービスが最近悪化したと考える根拠】
[1]「ENJOY! 60秒」サービスにより調理・包装グレードが悪化したから
[2]カウンターメニューが廃止され、注文しにくくなったから
[3]他チェーンと比べて、店舗前垂れ幕に魅力が無くなったから
1について、この60秒サービスに関する評判は、ネット上のコメントを見る限り、良くないようです。ちなみに、「マクドナルド 60秒」でグーグル検索すると、一番目に出てくるのが、こちらのサイト。
サービスの質が低下? マクドナルドの60秒サービスが物議を醸す
こちらのまとめサイトを見ると、60秒サービスで出来上がった商品のひどさが、よくわかると思います。この画像が本当かどうかはわかりませんが、マクドナルドからクレーム・抗議声明が出てないことを考えると、このようなグレードの低い商品が提供されても、不思議ではないのでしょう。実際にこの低グレードの商品を提供された人、そしてその口コミを聞いた人、ネットで画像を見た人は、来店をやめても不思議ではありません。その結果、既存店売上高が前年割れすることになります。
2について、カウンターメニューが廃止されたのは、昨年の10月初め。こちらも、ネット上でかなり酷評されていました。廃止されてから店舗を利用していませんが、廢止される前は、私自身カウンターメニューを見て注文していました。だから、もし廃止後入店すれば、注文しにくく感じたのは間違いないかと思います。日経の記事を見ると、カウンターメニュー廃止の目的は、「目的はお客様にカウンターでストレスなく注文してもらうこと。」のようですが、その裏には、混在時に手早く注文をさばき、売上を増やしたいという野心があるのは間違いないかと思います。顧客側から見れば、カウンターメニューがないことにより、逆にストレスに感じる人も多いかと思います。(今のところ)サービス低下につながっているようです。その先にあるのは、顧客離れ・売上の低下です。
3については、私自身が感じたこと。ファストフードチェーンの店舗前には、一押しメニューが印刷された垂れ幕が掲げてあります。この垂れ幕を見て、美味しそうと感じた通行人がお店に入ってくれる。または、この垂れ幕を見て、一押しメニューを注文してくれる。そういうシチュエーションを考えて、設置してあるのでしょう。しかし、マクドナルドの垂れ幕を見る限り、そんな気はあまり起きませんでした。
各チェーンの垂れ幕を比べると、一目瞭然です。
【ファストフードチェーンの店舗前垂れ幕】
[バーガーキング]
[モスバーガー]
[マクドナルド]
マクドナルドの垂れ幕が、かなり陳腐なのがわかるかと思います。これを見て、美味しそうに感じる人は、そうそういないのではないでしょうか。
ただし、マクドナルドの月次実績を見ると、既存店売上高は下降トレンドが続いているものの、客数が前年割れを起こしたのは、2012年では4・11・12月の3ヶ月だけです。この数字を見る限り、売上が悪い要因は、客数よりも客単価の下落にあるのは明確です。しかし、美味しさ重視の顧客数が減った一方で、それ以上に価格重視の顧客数が増えた、と捉えることもできます。客単価の向上に貢献してきたのは、もちろん前者の美味しさ・品質重視の顧客。この顧客がサービス低下に呆れ果て、来店しなくなったから、客単価が大きく下落したのではないでしょうか。
もっと言えば、11月・12月と2ヶ月連続で客数が減っていることは、価格重視の顧客もマクドナルド離れをしているのかもしれません。そう考えると、マクドナルドの深刻さはさらに深いものと言えるでしょう。
☆今日のまとめ☆
マクドナルドの売上不振は、サービス低下も影響しているのではないか。
60秒企画やカウンターメニューの廃止、店舗前垂れ幕の陳腐化は、来店動機を奪っても不思議ではない。
11月・12月の客数減を考えると、品質重視の顧客ばかりか、価格重視の顧客も店離れを起こしている恐れがある。
マーケティング・ビジネスのヒントに関するブログも書いています
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
個人的にマクドナルドに行かない理由は、うるさいからです。
確かに、コーヒー100円というのは魅力ですが、うるさければ、美味しく飲めません。
ならば、倍の金額を払って、ドトールに駆け込みますね。
☆サイゼリア創業者 正垣泰彦の言葉☆
「ありのままに物事を見るには、それ以外のことは一切考えないというくらい「集中力」が必要だ。一度に2つ以上のことを考えると、安易なモノマネや小手先で設けるテクニックのようなものしか見えてこない。私自身、何かに取り組みうまくいかなかったのは、集中力が足りず、安易に考えてしまったときだった。」
(『おいしいから売れるのではない 売れているから美味しい料理だ』より)
※創業者・経営者・商売人の心に残る言葉、元気になる言葉を紹介しています。