泥沼の中をさまようマクドナルド、その二の舞になり兼ねないチェーンはどこか?
By Danny Choo
日本マクドナルドの業績が大幅に悪化しているようです。60秒チャレンジという、ファストフードチェーンで未だかつて無い画期的(?)な企画を実施したのにも関わらず、既存店売上高は好転どころかさらに悪化。まるで泥沼の中でもがいているようにも見えます。
そこで、これまでマクドナルドを利用していた消費者が、どこに行ったのか調べてみました。調査方法は、マクドナルドと競合するであろう上場ファストフードチェーン・コンビニチェーンの月次実績からの推測です。
【マクドナルドとその競合店の既存店売上げデータ】
既存店売上→2012年3月のみプラス
既存店客数→2012年2・3・5・6・7・8・9・10月がプラス
既存店客単価→4月のみプラス
既存店売上→2012年10・11月・2013年1月がプラス
既存店客数→2012年8・10・11・12月・2013年1月がプラス
既存店客単価→6月のみプラス
既存店売上→2012年2・3・4・5・8・11月がプラス
既存店客数→2012年2・3・4・5・10月がプラス
既存店客単価→データなし
既存店売上→2012年2月~2013年1月まで12ヶ月連続プラス
既存店客数→2012年3月~2013年1月まで11ヶ月連続プラス
既存店客単価→2012年4・6・9・10・11月・2013年1月がプラス
既存店売上→2012年2・3・4・5月・2013年1月がプラス
既存店客数→2012年3・4・5月がプラス
既存店客単価→2012年2・4・5・6・7・10・12月・2013年1月がプラス
既存店売上→2012年3・4・5月がプラス
既存店客数→2012年3・4・5月がプラス
既存店客単価→2012年2・4・5・6・11・12月・2013年1月がプラス
※ 対象月:すべて1年間。ドトールコーヒーのみ2012年1月~12月、ドトールコーヒー以外は2012年2月~2013年1月
マクドナルドが深刻なのは、客数が減少に転じているからです。では、マクドナルドを利用しなくなった消費者は、どこを利用するようになったのか。上記データより、モスバーガー・スターバックスであることがわかります。もちろん、月次実績のデータが公表されていないチェーン(ロッテリア・ミスタードーナツ・セブン-イレブンなど)にも、奪われている可能性は大ですが、少なくとも、数字からはモスバーガーとスターバックスに顧客が流れていることがわかります。
ただ、冷静に考えれば、日本の人口が減少している以上、客数が減るのは仕方ないことかもしれません。だからこそ、スターバックス以外は客数の減少に悩んでいるのだと思います。モスバーガーも、ここ3ヶ月でやっとこさ客数減トレンドから抜け出すことができました。(恐らく、マクドナルド利用者の多くが、モスを利用している模様。)客数減が避けられない以上、客単価を引き上げなければ、既存店売上を前年比プラスにすることができません。
この客単価引き上げ路線を進んでいるのが、スターバックス・ローソン・ファミリーマート。その甲斐あって、ローソンは既存店売上がプラスに転じています。ファミリーマートも、マイナス幅が小さくなっています。
客単価引き上げ路線を、人口減少の国内で既存店を増加させる定石と考えれば、モスバーガーも先行きが怪しいと言わざるを得ません。今のところ、客単価を引き下げることで、マクドナルドに嫌気が指した消費者を獲得していますが、このままでは、いずれ客数も減少に転じ、既存店売上がマイナスに陥る可能性が高いでしょう。
ここでふと気づきましたが、「客単価を引き下げて客数を増やし、そして客単価引き上げを目指す」というやり方は、マクドナルドCEOの原田さんがマクドナルドを復活させたやり方です。最後の「客単価引き上げ」が上手く行かなかったために、既存店売上がマイナスに転じ、そして客数まで減ってしまったのです。そう考えると、モスバーガーの未来は、最後の「客単価引き上げ」に掛かっていると言っても過言ではありません。
ちなみに、ドトールコーヒーの月次実績では、客単価が開示されていないため、客単価の変動がわかりません。ただ、既存店売上が客数の変動よりもマイルドである点から予測すれば、客単価は横ばいまたは上がっているように思えます。
☆ 今日のまとめ☆
マクドナルドの客数が減少に転じた2012年11月以降に客数を増やしたモスバーガーが、マクドナルドの顧客を奪ったのではないか。
ただし、モスバーガーは客単価が下落基調なので、このままでは客数まで下落に転じ、マクドナルドの後を追い兼ねない。
マーケティング・ビジネスのヒントに関するブログも書いています
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
マクドナルドは、先日の四半期決算発表にて、価格引き上げの検討を発表しました。
単に価格を引き上げるだけでは、顧客の離反を招くだけ。
新商品を投入するなど、価格改定に原田マジックが期待できそうです。
☆サムシンググッド創業者 坂本桂一さんの言葉☆
「トライする前にすべてのリスクを排除しておくという発想が、そもそも現実的ではない。それに、安全に追求することと成功を狙うことは、まるで次元の違う話なのである。早い話、成功というのは「数撃ちゃ当たる」の先にしかない。リスクをつぶして、やらない理由を探す時間を費やすぐらいなら、その時間を使ってスタートをきる。これが成功する人に共通する思考法だ。逆はありえない。もちろんやり方は前にも説明したように最大限の知恵を使って探りだす。」
(『頭の良い人が儲からない理由』より)
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