東洋水産のセブンPB・金の麺製造受託からわかる、消費者ニーズとは?

中国?のセブン-イレブン

 By Tricia Wang 王圣捷

前回に引き続き、セブンゴールドの金の麺に関して述べようと思います。東洋水産が製造をしているのですが、東洋水産が製造を受託した理由は、前回述べた通り。このPB開発・製造から、消費者ニーズについて考えてみました。

 

【金の麺からわかる消費者ニーズ】

[1]            利便性を求める

[2]            簡便性を求める

[3]            できるだけ失敗リスクを回避したい

[4]            時短を求める

[5]            大して重要でないことはマスコミなど他者の情報を信じる

 

1・2・3・4は、東洋水産がコンビニという販路を重視したことから考えました。つまり、食品メーカーにとってコンビニが重要な販路ということは、コンビニが消費者に選好されていることになります。なぜ、消費者はコンビニを好んで利用するのか。それは1・2・3・4というニーズがあるからに他なりません。

 

1について、コンビニの利便性の高さは、特に説明はいらないかと思います。何せ、どこにでもあります。そして、コンビニに行けば、大抵のものが手に入ります。今では、野菜まで販売するほど。この利便性の高さを実感したのは、先日阪神御影駅前のローソンに行った時です。夕方なのですが、大学生か社会人になって間もない若者が、カゴに食べ物をどんどん入れている光景を目にしました。恐らく、夜ご飯なのでしょう。彼女にとって、夜ご飯の調達場所はスーパーではなくコンビニなのです。それは、近くにあって、なんでもあるからに他なりません。特に若者にとっては、コンビニの利便性の高さは、大きな魅力なのだと思います。

 

2については、即席麺の簡単調理を言いたいのではありません。コンビニが提供する簡便性、つまりキュレーションになります。コンビニは売場面積が小さいため、販売商品を厳選しなければなりません。その結果、コンビニには、そこそこのモノが揃うことになります。このキュレーションこそが、コンビニ人気の理由のように感じるのです。一方、スーパーに行けば、多種多様な商品が販売されています。一見、自由に選べるので、そちらの方が消費者ニーズを満たすように思えるのですが、実は逆なのではないかと考えます。というのも、選択肢が多いほど悩まなければならないからです。しかも、自分の好みとは違ったモノを選んでしまうリスクもあります。この点、厳選された商品を扱うコンビニには、それほど選択肢がないため迷う必要もなく、失敗のリスクは小さくなります。この迷う必要がないというのが簡便性につながるのです。コンビニの持つこのキュレーションこそが、消費者が求める簡便性を満たすことになるのです。

 

3についても、前述の通り。コンビニのキュレーションが失敗リスクを回避してくれます。

 

4について、コンビニとスーパーの大きな差は、レジに並ぶ確率と売場の広さではないでしょうか。スーパーでは、食事時に行けば大抵レジに並ばなければなりません。一方、コンビニでは、ピーク時に少し並ぶ必要はあるかもしれないですが、それでもほんの1・2分に過ぎません。この差が、時短を求める消費者にとっては大きいのです。売場の広さは特に説明はいらないでしょう。売場が広くないコンビニの方が、買い物時間を短縮できます。

 

5について、これはマルちゃん正麺の一人勝ちが教えてくれます。実際に、競合品である麺の力を食べてみると、調理後の商品自体にそれほど大差がないことがわかります。麺の力も、従来のサッポロ一番シリーズとは違い、かなり生麺に近いのです。それにもかかわらず、マルちゃん正麺だけが売上を伸ばすのは、マスコミが取り上げるプレミアム袋麺がほぼマルちゃん正麺だからです。この知名度の高さが、マルちゃん正麺の1人勝ちに大きく貢献しているのではないでしょうか。逆に言えば、消費者は、それだけマスコミの情報を信じていることに他なりません。他人の情報により重きを置くということは、商店にできる行列にも表れています。多くの人が行列に並んでいるから、その商品はいいに違いない。そう思うからこそ、待つという手間を負担してまで、行列に並ぶのです。これは、3の失敗リスクの回避にも通じます。

 

安倍政権の成長戦略により働く女性が増えれば、4の時短ニーズはさらに高まります。スマホが普及すれば、エンターテイメントをより自由に楽しめるようになるので、あまり重要でないことには時間を割きたくなくなります。これも時短ニーズの高まりにつながります。東洋水産は、こういう傾向があるからこそ、消費者が選好するコンビニという販路を無視できなくなり、金の麺の製造を受けたのだと思います。

 

☆今日のまとめ☆

東洋水産の金の麺製造受託からわかるのは、消費者のコンビニ選好とマスコミ情報の強い影響力。

消費者がコンビニを選好するのは、コンビニが利便性ニーズ・簡便性ニーズ・リスク回避ニーズ・時短ニーズを満たすからに他ならない。

 

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☆    今日のこぼれ話☆

金の麺は、5/21からの発売のようです。(ただし首都圏のみ)

※セブン&アイ・ホールディングスのプレスリリースはこちら(PDF)

ちなみに、金の食パンはかなり売れているようなので、金の麺も大きな売上を記録すると予想しています。

マルちゃん正麺と食べ比べしたいと思います。

 

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