ショールーミングをもたらすネット通販は味方か敵か?
by courtesy of MIKI Yoshihito
※洋服の青山とは関係ありません。
12月のモーニングサテライトで、実店舗型小売店のネット通販との関わりが取り上げられていました。好対照な二つの企業をまとめると、次のようになります。
【好対照なネット通販との関わり方】
【対抗】せーの(若者向けアパレルショップ)→充実した来店ポイントを提供し、来店動機を高める
【活用】青山商事(スーツ専門店)→ネット割引クーポンを実店舗で提供し、ネット通販での売上拡大も図る
せーのは、ネット通販は実店舗をショールーム化させるものとして、対抗しています。来店しただけで付与されるポイントを活用し、特に欲しい物がなくても来店してもらう環境を作っています。欲しい物がなくても、来店することで、買いたい物が生まれるかもしれません。目当ての商品があって来店しても、店舗に在庫がない場合もあり、さらに店舗を巡回することで、新たに欲しい物が発生することはよくあること。そう考えれば、せーのの施策は、かなり実際に則した方法です。ただし、来店しただけの人にもポイントを付与しなければならないことは、会社にとって大きな負担。営業利益率は確実に低下します。利益率の低下を受け入れてでもポイント付与をするということは、それだけネット通販を脅威と捉えているとも言えるでしょう。
一方の青山商事は、来店した人がみんな購入に至るとは限りません。店舗に在庫がなかったり、決断できなかったりして、買わないまま退店する消費者も多いのです。その人は、青山で取り扱うカテゴリー(例えばスーツやネクタイなど)に興味を持ったのは確実であり、そのまま何もしなければ、ネット通販も含めた競合する同業他社で購入するかもしれません。ならば、その売上を確保するために、自社のネット通販に誘導すればいいのです。それが、実店舗で配布する5%割引クーポンです。実店舗で売っても、自社の通販サイトで売っても、売上は売上。このような考えのもと、実店舗で購入にまで至らなかった来店客をネット通販に誘導しているのです。せーのとは異なり、ネット通販に対抗するどころか、ネット通販と実店舗を融合させて、自社の売上全体を増やそうとしています。
どちらがいいのかは、売上の増減を見るしかありません。しかし、ネット通販が今後も普及するのは確か。価格の低さや利便性の高さでは、実店舗はネット通販には敵いません。価格・利便性以外のサービスで、いかに実店舗を持つという強みを活かすかが、ショールーミングを回避する鍵を握っているように思えます。
☆今日のまとめ☆
ショールーミングの回避を狙って、来店動機をポイント付与で作ろうとしているのが、せーの。
一方、青山商事は、実店舗と自社のネット通販全体での売上拡大を狙って、購入に至らなかった来店客に、ネット通販割引チケットを配布している。
実店舗は、低価格(低コスト)・利便性では、ネット通販には敵わない。
よって、サービスを提供することで、実店舗を持つ強みを活かす必要があるのではないか。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
ショールーミング、私もしますよ。
ただ、最近店員さんとのコミュニケーションも楽しみたいと思うので、気に入ったサービスを受けたら、実店舗で買うようにしています。
まぁ、なかなか気に入るまでのサービスはないものですが。