伊藤忠商事の110運動を決して無視してはいけない
by courtesy of Eden, Janine and Jim
日経新聞のニュース一言というコーナーに、伊藤忠商事の岡藤社長の一言が紹介されていました。このコーナーの経営者の言葉を取り上げ、その企業が目指す方向性を伝えてくれるので、投資先を考える際にとても参考になります。経営者の考えで、企業業績・株価は影響されるからです。
ただ、今回の岡藤社長の一言からは、業績というよりも消費に与える影響を考えてしまいました。取り上げられていたのは、伊藤忠商事が進める110運動。110運動とは、
「酒席は一次会のみ、夜10時までという心がけだ」
という岡藤社長の言葉からわかるように、
110運動=1次会のみ夜10時までで終わらせる運動
という意味です。従来の歓送迎会や忘年会なら、1次会の次にカラオケなど2次会があったはず。そして、終電間際まで楽しむというパターンだったと思います。これを、1次会のみにして10時にはお開きにしようというのが、伊藤忠が進めている運動です。
この110運動を進める背景には、残業を原則禁止にするとともに始業時間を早めるという、伊藤忠の働き方改革があります。以前WBSでも取り上げられていたのですが、朝早くに出社すると、無料で朝食が取れるというサービス(?)を行っており、このサービスにより早朝出勤を促しているようです。これに110運動が合わされば、仕事による拘束時間が朝にシフトすることになり、早く帰宅できるようになります。
これを単に一企業の変化と思うなかれ。帰宅時間が早くなるということは、それだけ仕事帰りの買い物時間が増えるということになりますが、1次会で終了となれば、これまで2次会需要を満たしてきたカラオケ店などは売上が減少することになります。110運動は、飲食店にとって逆風になるのです。
さらに、伊藤忠は総合商社であるので、付き合いのある企業が多く、この110運動が広がる可能性があります。つまり、伊藤忠だけの話に留まらず、日本中に広がる可能性があるのです。しかも、その伊藤忠は目下好業績に見舞われており、伊藤忠の働き方改革を真似する企業が出てきても不思議ではなりません。
ただでさえ、伊藤忠商事は子会社まで含めれば従業員の多い会社なので、110運動の影響は大きいのですが、これが取引会社などに広がれば、さらにその影響力は増すことになります。2次会需要で潤ってきた飲食店は、今後何かしらアクションが必要になりそうです。
☆今日のまとめ☆
伊藤忠が進める110運動は、2次会需要を減少させ、2次会の売上に依存してきた飲食店にとっては逆風になる。
この動きが、伊藤忠商事やその子会社のみならず、取引会社などに広がれば、その影響力はさらに増すことになる。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
最近バーのチラシが初めて入ったのですが、バーも集客に苦労しているということなのでしょうか。