コカ・コーラはタダでビッグデータ獲得を狙う

コカ・コーラの自販機by courtesy of Eric Brochu

消費増税により、コカ・コーラも価格改定を行うようです。

清涼飲料最大手、コカ・コーラグループが4月の消費増税に合わせた自動販売機の価格改定を発表した。増税直前まで長引いたのは収益改善と販売減とのはざま でぎりぎりの判断を迫られたためだ。全国約250万台と巨大な販路である自販機での値上げは、業界全体を揺さぶる衝撃となっている。(2014年3月5日付 日経MJ)

増税によりコストが上昇するのだから、価格に転嫁するのは当然と言えば当然。ただし、面白いのが自販機での転嫁方法。現金決済と電子マネー決済で差を付け、電子マネーの場合は5円割引するようです。5円というインセンティブはかなり大きいのではないでしょうか。100円台の商品で5円差があれば、商品選びに大きな影響を及ぼします。つまり、電子マネー利用という条件はつくものの、5円割引することにより、コカ・コーラはサントリーなど競合から顧客を奪おうとしているのです。

一見、この5円はコカ・コーラが負担するように見えますが、実際には負担するコストはほとんどゼロ。(電子マネー決済手数料は掛かりますが。)というのも、5円値引きしても、消費税分は転嫁しているからです。例えば、缶コーヒーのジョージアの場合、現在の価格は120円。この内訳は、本体価格114円と消費税額6円です。消費税率が8%になると、消費税額が約9円になるので、税込価格は123円になります。増税後の価格を130円にするので、5円引いてもお釣りが出ます。つまり、電子マネー利用で5円割り引いても、コカ・コーラの損益には全く影響しないのです。

ちなみに、税率が10%になった場合、増税分をそのまま転嫁すれば、約126円。その時も5円引きを実施していた場合、1円をコカ・コーラは負担しなければなりません。恐らく、10%になることを見越して、10円の転嫁を行ったでしょう。

コカ・コーラが5円引きを行ってまで電子マネー決済を促すのは、ビッグデータを獲得できるから。電子マネーにひも付けされた属性と購入商品がわかれば、より精度の高い販促が可能となります。さらに進化すれば、特定の属性にだけ新製品をお試し価格で販売するなど、販促のカスタマイズが起こるかもしれません。さらに、電子マネー決済が増えれば、売上金の回収時に起こる事故の影響を最小化できます。

いずれにしても、タダでビッグデータを獲得しようとするやり方は、うまいと思います。

☆今日のまとめ☆

ビッグデータ獲得にはコストが掛かるが、コカ・コーラは、うまい価格設定でコスト負担をほとんどゼロにした。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

決して、コカ・コーラを批判しているのではありません。

自販機という利便性の高い販売ルートなのだから、小売店の価格よりも高くなって当然だと思います。

ちなみに、私はよっぽどのことがない限り、自販機で買うことはないですね。

 

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