エキマルシェ大阪の高級スーパー・デリフェスタが閉店した理由とは?
1ヶ月前程になりますが、JR大阪駅のショッピング街・エキマルシェ大阪を視察していると、高級スーパーのデリフェスタに多く人が来店しているのに気づきました。このお店は、いかりスーパーマーケットがプロデュースする、小型の高級スーパー。駅前・駅ナカでよく見かける成城石井と同じコンセプトのスーパーです。駅近くの成城石井は本当によく流行っています。仕事帰りのビジネスウーマンの利用が多いのが特徴。ちょっといいものを手早く買えるのがいいのでしょう。このデリフェスタも、同じニーズを狙ったのだと思います。
しかしながら、オープンから一年半弱で閉店しました。ということは、売上が芳しくなかったからでしょう。そこで、エキマルシェ大阪のデリフェスタが失敗した理由を、私なりに考えてみました。
【エキマルシェ大阪のデリフェスタが失敗した理由】
[1] 立地が悪かったから
[2] 飲食ゾーンにあるため、来店客のニーズと合致しなかったから
[3] お店の特徴や差別化商品が明確でなかったため
[4] JR西日本が運営していたため
1について、立地は決してよくありません。エキマルシェの中でも端に位置しているため、気付かずに後にする人も多かったのではないでしょうか。中央駅改札前のいかりスーパーマーケットがかなり繁盛していることと比較すると、立地の悪さは否めません。
2について、立地が悪いとはいっても、近隣の店舗に閑古鳥が鳴いているわけではありません。隣のカフェやドーナツ店、パスタ店はそれなりに流行っています。同じゾーンには、行列のできる回転寿司や牛たんレストランがあるので、ゾーン全体では集客に成功しているのです。それでも売上が伸びないということは、ゾーンに来る人の飲食ニーズを満たさなかったからではないでしょうか。集客力の高い飲食店街に作った食品スーパーの失敗事例のように思えます。
3について、梅田には高級スーパーが多くあります。JR大阪駅中央改札前のいかりスーパーマーケットだけでなく、阪急梅田駅前には成城石井、地下街にも成城石井が2・3店舗あったかと思います。それだけ多くの高級スーパーがあるということは、ニーズがあるという証左になる反面、高級スーパー同士の競争が生まれることにもなります。その競争に負けたから閉店したわけであり、その理由は差別化に失敗したからでしょう。価格で勝負できない高級業態ですから、何かしら差別化商品が必要になりますが、それが私には気づきませんでした。ワインの販売に力を入れているようでしたが、他の高級スーパーよりも品揃えが豊富なわけではありません。中途半端な商品構成・売り込みの曖昧さが、高級業態同士の競争に負けた原因ではないでしょうか。
4について、これはいかりスーパーマーケットの公式サイトを見て気付いたのですが、プロデュースしていながら、店舗情報には掲載がありません。今でも営業しているエキマルシェ宝塚のデリフェスタも、掲載されていません。利用者のブログを見たところ、いかりのポイントカードを利用できないようなので、運営はいかりではなくJR西日本と推測されます。つまり、いかりから商品を仕入れて、JR西日本が販売しているのです。食品販売を本業としていない企業による運営が失敗したから、売上があまり伸びなかったのではないでしょうか。
当初、時短ニーズの強い消費者は、デパ地下ではなく駅前の高級スーパーを利用すると予測しました。実際、改札前のいかりは成功しているので、このような使い方は多いと推測されるのですが、一方で立地が悪いデリフェスタは閉店。デリフェスタ大阪の失敗は、立地の重要さはもちろん、高級スーパー+αの付加価値・差別化が必要なことを、教えてくれます。
☆今日のまとめ☆
高級スーパーのニーズの高い梅田でデリフェスタが閉店したのは、立地の悪さだけでなく、高級スーパー以外の付加価値を提供できなかったからではないか。
高級だけでは、依然ほど売れない。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
デリフェスタ宝塚に関するブログを見ると、デリフェスタのお弁当は評価が高いようです。
お弁当・総菜主体にして、スタンディングでワインを飲めるようにすれば、飲食ゾーンだけに流行ったかもしれませんね。
調理室を持っていただけに、勿体無い。