佐賀牛の焼肉よりも豆腐と魚のお好み焼きの方が魅力的な理由とは?

試食の後By tenugui

 

先日、とある用事で阪急西宮北口駅前の西宮ガーデンズに寄りました。ガーデンズに特に用事があるわけではないのですが、集客力のあるSC(ショッピングセンター)だけに、毎回学びが得られる大好きな場所。今回も、西宮阪急の地下食品売場で大きな発見がありました。

 

発見したのは試食売場。試食販売していたのは、豆腐と魚のお好み焼きと佐賀牛の焼肉です。同じ試食販売ながら、その集客には大きな違いがありました。前者の売場には、絶えず1~2組のお客さんが試食していたのに対し、後者では誰も試食していません。そこで、なぜこのような違いが生まれるのかについて、考えてみました。

 

【豆腐と魚のお好み焼きと佐賀牛の焼肉が集客力に差が出た要因】

[1]        希少性

[2]        単価

[3]        ソリューション機能の有無

[4]        調理の簡便性

[5]        試食の簡便性

 

1について、豆腐と魚のお好み焼きは期間限定の催事であったのに対し、佐賀牛の焼肉は常設の精肉店で行われていました。西宮阪急の常連客の立場からすると、後者はいつでも購入できるので、今買わなくてもいいわけです。一方、前者は今買わなければ、二度と遭遇できないかもしれません。この差が、試食に希少性の差を生み出します。今しか試食できないとなれば、豆腐と魚のお好み焼きを選ぶ人がほとんどではないでしょうか。

 

2について、単価の高さが試食のハードルになります。豆腐と魚のお好み焼きは、一つ299円、4つで1050円。食料品としては決して安い部類に入りませんが、4つ買えばお得感はあります。一方、佐賀牛は100g700円ほど。自宅で焼肉をする人は、家族など誰かと食べる人がほとんどでしょう。ならば、100gだけ買うわけにはいきません。人数分X100gほど買うとなれば、佐賀牛だけでかなりの出費になります。これが購入のハードルとなり、試食に躊躇させることになります。

 

3について、豆腐の魚のお好み焼きを購入していた人の多くは、小さな子どもと一緒に買い物に来ていたお母さん。恐らく、豆類や魚類をなかなか食べてくれない子供に苦労しているのだと思います。そこで登場するのが、豆腐と魚のお好み焼き。子供がこれを美味しそうに試食していれば、子供の栄養のために買おうという動機が生まれます。この動機、かなり大きいのではないでしょうか。一方、佐賀牛の焼肉は、食べたわけではないですが、値段から考えるにかなり美味しいのは間違いないでしょう。ただ、それだけです。美味しさが、何か課題を解決するわけではありません。美味しさというソリューションよりも薄い動機が、試食の壁になっているのではないでしょうか。

 

4について、これは推測ですが、豆腐と魚のお好み焼きは、フライパンで焼くだけできそうに見えました。もしかしたら、レンチンだけで食べられるのかもしれません。それだけ、調理は簡単なのです。おやつでも十分いけるでしょう。一方、佐賀牛の焼肉は、焼くだけですが、それだけで食べられるものではありません。焼肉のタレが必要ですし、さらに栄養バランスを考えれば、野菜をカットする必要もあります。豆腐と魚のお好み焼きよりも、ずっと調理が面倒なのです。この利便性の差が、試食の差につながっているように感じました。

 

5について、豆腐と魚のお好み焼きは、小さく切ったものが爪楊枝に刺さっているので、片手で試食ができます。一方、佐賀牛の焼肉は、焼肉が小さなトレーの中に入っていて、それを爪楊枝で口に入れるタイプ。片手でトレーを持ち、もう一方の手で爪楊枝を持たなければなりません。両手が必要になり、片方の手しか空いていない人は、試食ができないことになります。これが、試食人数の差につながったのではないでしょうか。

 

この二つの試食販売、実は10mほどしか離れていない場所で行われていました。そんな近くで行われていたのにもかかわらず、集客には大きな差が生まれていたということは、その商材・単価・試食方法・提案方法が試食販売の成果に大きな影響を及ぼすことを、教えてくれます。

 

☆  今日のまとめ☆

試食販売において、豆腐と魚のお好み焼きが佐賀牛の焼肉よりも多く集客していたのは、商材の希少性・単価・ソリューション機能の有無・調理の簡便性・試食の簡便性に差があったからである。

たとえ同じ商材であっても、価格・試食方法・提案方法によって、試食販売の成果に大きな差が生まれる。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

実は、以前にも豆腐と魚のお好み焼きの試食販売を目にしました。

場所は、神戸そごうのデパ地下。

ここでも、結構売れていたことが印象的でした。

食べたことがないのですが、相当美味しいのは間違いないでしょうね。

 

☆経営コンサルタント 石原明さんの言葉☆

「何かを買ってもらったということは、会いに行ったり電話をしてもいいという権利が生まれたということなのです。」

『気絶するほど儲かる絶対法則 売れるしかけと勝てるしくみの作り方』より)

※ポッドキャストでいつもお世話になっています。この番組は本当に勉強になります。

※創業者・経営者・コンサルタントの心に残る言葉、元気になる言葉を紹介しています。

 

 

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