ロイヤルのフローズンヨーグルト店「ピンクベリー」はサーティーワンと競合するか?

Photo:pinkberry By:owaief89
Photo:pinkberry By owaief89

 

ロイヤルホストを運営するロイヤルホールディングスが、アメリカのフローズンヨーグルト店を日本でFC展開するようです。

 

ロイヤルホールディングス(HD)は外食事業の多角化を進める。主力のファミリーレストラン「ロイヤルホスト」の新規出店が頭打ちとなるなか、カフェや デザート店といった新業態と天丼店「てんや」の店舗網拡大に力を入れる。景気回復でファミレスの業績が好調なこともあり、次の「成長エンジン」と位置付け る新規事業などの育成に経営資源を投じる。(2014年4月18日付 日経MJ)

 

フローズンヨーグルトと言えば、アイスクリームの部類に入ります。いくら美味しいアイスクリームでも、そう頻繁に食べるものでもありません。しかも、アイスクリームという商材は、そもそも飲食店で食べるよりもスーパー・コンビニで買う傾向の強いもの。この提携話を聞いた時、そう流行るものではないと思いました。

 

実際、日本で唯一アイスクリーム店をチェーン展開するB-Rサーティーワンアイスクリーム株式会社の業績は、芳しくありません。店舗増により前年比で増収増益は確保しているものの、計画費では売上・各利益ともマイナス。

 

その要因は、既存店の営業が振るわないからです。客単価は前年を維持しているものの、客数はマイナス。これでは、既存店の売上が前年比プラスになるはずはありません。各利益金額も計画値に遠く及ばず、増量キャンペーンなどの割安感を出すことで売上を確保している模様が想像できます。割安感を出すと、利益率は低下するもの。だから、計画比での売上減が、利益での大幅減につながっているのです。

 

アイスクリームの飲食店といえば、ハーゲンダッツもありました。しかし、それは過去の話であり、2013年4月に小売店事業から撤退。ライバル店の撤退という変化は、サーティーワンにはプラスに働いても不思議ではありません。それでも既存店が振るわなかったのは、飲食店でアイスクリームを食べたいというニーズがさほど強くないことの表れとも捉えることができます。

 

では、なぜロイヤルは参入するのか。そのヒントは、記事にありました。

 

ピンクベリーはフルーツなどをトッピングした低脂肪・低カロリーのフローズンヨーグルトを販売する。健康志向が高まる米国で「フロヨ」ブームの火付け役となった。(同上)

 

キーワードは、「フルーツ」と「健康志向」。フルーツをトッピングしたアイスクリームは、アイスクリームというよりもパフェに近いものかもしれません。アメリカのpinkberryのサイトを見たところ、パフェほどどっさりフルーツなどのトッピングはないものの、トッピングをして食べる商品であることは間違いありません。ハーゲンダッツのサンデーに近いでしょうか。ハーゲンダッツが既存店売上げ好調だったことを考えると、ハーゲンダッツが満たしていた需要を獲得できる可能性はあります。さらに、日本独自にトッピングを増やせば、売上げ好調のファミレスが販売するパフェが競合になりえます。

 

健康志向は、高齢者だけでなく若者にも広がる根強いニーズ。ヘルシーさをウリにした定食店の人気は、このニーズの強さを物語っています。「アイスクリームを食べたいけど、太りたくない」というニーズを捉えることができれば、売上が伸び悩むサーティーワンを尻目に、大成功を収める可能性は高いと言えます。

 

フルーツ・健康志向をウリにすれば、減少する子供ではなく、高齢者を含めた増加する大人をターゲットにできます。そう考えれば、アイスクリームという同じ商材を扱うものの、ピンクベリーとサーティーワンは競合しないと考えた方が、良さそうです。

 

☆今日のまとめ☆

「フルーツ」「健康志向」で差別化するピンクベリーは、サーティーワンと競合しないのではないか。

逆に、撤退したハーゲンダッツの顧客を捉えられれば、大成功を収める可能性さえある。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

フローズンヨーグルトは美味しいというイメージありますが、どこで食べられるかはよくわかりません。

ニーズはあるけど、それをいまだ満たしていないとも言えます。

ピンクベリーは面白い存在になるかもしれませんね。

 

ロイヤルのフローズンヨーグルト店「ピンクベリー」はサーティーワンと競合するか?” に対して2件のコメントがあります。

  1. 面白いトピックですね。ロスに住んでいるピンクベリーファンの日本人の間で、ピンクベリー日本上陸のニュースは、日本に住む友人たちに向けてどんどん発信されています(話題になっています)。

    私はフローズンヨーグルトは食べることもスムージで食することができ、さらに『フローズンヨーグルト』とアイスクリームとは別の新たな市場ができるのではないか?と予想しております。よって競合分析も、アイスクリームとはなからくって、31やCold Stoneと比較し、差別化する?ってところから疑問を持った方がよいのではないか?とすら感じております。

    とりあえず、リサーチ無しで、私の知っていることだけで情報整理。

    基本の4Pで。

    Product: アメリカで販売しているものと同じ。フローズンヨーグルトにフレッシュフルーツ、野菜、またはチョコレートなど様々なトッピングがある。無脂肪牛乳、無脂肪ヨーグルトを使用 のため健康志向者にも人気。

    Price: スモール:360円(税込)~
    レギュラー:510円(税込)~
    ラージ:660円(税込)~

    同様の店頭販売という形態ではアイスクリームやかき氷と比較すると高めの設定。よって競合は同じ『冷たいもの』というより、クレープやケーキ?はたまた、デザインや空間を通してコアファンを増やしているスタバなど?
    今のところ同じフローズンヨーグルトの競合が日本にはいない?のでフローズンヨーグルトの日本で流行の先駆けになる可能性は高い。

    Place: 幅広い年齢層が多い、お台場。デートや家族でのレジャーとして訪れることが多いので、お財布が緩みやすいロケーション。
    パイロットには適しているが、リピーター獲得はどうなるか?(というか、すぐに都内に2号店を出すか、もしくは、千葉や埼玉のレジャーの場所に2号店を出すだろうな)

    Promotion: そもそもピンクベリーは大々的な宣伝をするのではなく、口コミによる人気とコアファンによる支持が強みのお店。更に、お店の内装のデザイン性がかなり高く、ただのフローズンヨーグルトを売る店、としてではなく、目に見えない(ブランド)付加価値を顧客に与えていることから、情報の発信は、娯楽施設、ファッション性の高いチャネルを選ぶ特徴がある。こんかいの日本の記事も『fashion-press.net』から。一貫しています。

    これからまだまだニュースが出てきそうなので、これからが楽しみですね。

    通りすがりでコメント残してすみません。ほかの記事も面白そうなんで、読ませていただきますね!

    1. ryotarotakao より:

      ゆかりんりんさん

      コメントありがとうございます。
      しかも、かなり詳しい分析までして頂いて、大変勉強になりました。
      価格・ブランドから考えると、コールド・ストーン・クリーマリーが競合になりえるでしょうか。
      また、夏では喫茶店のかき氷と競合するかもしれないですね。
      文章からは、ブランドイメージの高いブティック的な店舗を想像しました。
      性急な店舗展開で早く飽きられないかが心配ですが。
      ヘルシーさを全面に出せば、シニア層にも受けるかもしれませんね。
      開店が楽しみです。

      これからもよろしくお願いいたします。

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