阪神百貨店の閑散としたグラノヤが教えてくれる消費者ニーズ
梅田の阪神百貨店にオープンしたカルビーのフルグラ専門店・グラノヤ(grano-ya)。かなり苦戦しているようです。オープン当初は行列ができるほどの人気でしたが、6・7月に行列を見たことはありません。私の知らない間に行列ができている可能性は十分あるのですが、混みあう週末に全く行列ができていないばかりか、来店客がいない時間帯の方が多いところをみると、想定以上に苦戦していることはほぼ間違いないでしょう。
このグラノヤの強みは、自分好みのフルーツグラノーラを作れるという点。市販されているカルビーのフルグラにはグラノーラやレーズンなどのドライフルーツがミックスされていますが、グラノヤではこの調合を自分好みで行えます。レーズン嫌いの私のような好き嫌いの激しい消費者や、より美味しいグラノーラを食べたいグラノーラフリークをターゲットにした店舗なのです。また、大手菓子メーカーのカルビーが運営しているということで、知名度と安心感に優るという強みもあります。
そこで、苦戦している要因について、考えてみました。
【阪神のグラノヤが苦戦している要因】
[1]グラノーラ・シリアルの市場規模が小さく、顧客層自体が小さいから。
[2]カスタマイズが面倒と捉えられたから
1は、商品について。グラノーラやそれを含むシリアルは、そう普及した食品ではありません。どちらかということ、朝食にこれらの商品を食べるのは、ごく一部の消費者に限られるのでしょう。というのも、実際にスーパーでシリアル売り場を見ると、大抵誰もいません。しかも、売り場自体も最近広がったとはいえ、まだまだ小さいカテゴリーでしょう。市場規模自体が小さいので、たとえこだわり商品を求める消費者の多いデパ地下といえども、そう売れる商品ではないのです。まだ売り切れが続く阪急の高級ポッキーやプレミアムハッピーターンとは、商品自体の市場規模が異なるのです。
2について、これは消費者ニーズに関すること。カスタマイズは、多様なニーズを持たす効果がある反面、選ぶという面倒な作業を伴うデメリットがあります。このデメリットを強く意識されると、カスタマイズ=面倒と認識され、敬遠されることになります。最近認知されたばかりのグラノーラでは、カスタマイズニーズがそう強くない可能性があります。それよりも、健康にいい調合が予めされた既成品の方が、支持されているのかもしれません。
価格の高さも売上不振の大きなネックになっているでしょう。毎朝食べるものである上、もともと割高な商品ゆえに、さらに単価の高いデパ地下商品よりもスーパーの既成品(カルビーのフルグラ)が選好される可能性は高いでしょう。
カスタマイズは、ワンランク上の商品を作る上のキーワードですが、いつも消費者ニーズに合致するわけではないことがわかります。
☆今日のまとめ☆
阪神のグラノヤが不振なのは、グラノーラ・シリアルの市場規模自体が小さいからであり、またカスタマイズが面倒と捉えられているからではないか。
カスタマイズが常に消費者ニーズに合致するわけではない。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
そう言えば、以前買ったグラノーラがまだ自宅の食品棚に眠っています。
個人的には、トーストの方が美味しいですね。
ヘルシーかどうかは別ですが。