外食チェーンの既存店売上から考えた増税に強い業態とは?
先日取り上げたAPカンパニーですが、その月次を見てびっくりしました。居酒業界の勝ち組企業と思いきや、消費増税の影響をモロに受けています。しかも、5・6月と既存店売上高は悪化しています。そこで、ざっと外食チェーンの既存店を調べてみました。
【外食チェーンの消費増税後の既存店売上】
[カフェ・高品質]スターバックス→マイナスは6月のみ。増税の影響はほとんどなし。
[総菜・高品質]RF1→4月からマイナス継続。6・7月と悪化。2013年5月以降でマイナスは2014年2月のみ。
[総菜・健康]ベジテリエ(ロック・フィールドの野菜ジューススタンド)→4月からマイナス継続。6・7月は90%前後と特に悪い。
[ファミレス・高品質]ロイヤルホスト→6・7月前年割れするも、8月に前年クリア。
[中華・低価格]餃子の王将→6月プラスに転じるも、7月は5月以上に悪化。
[ファストフード・高品質]モスバーガー→4・5月はプラスも、6月にマイナスに転じ、7月は更に悪化。
[バー・低価格]ハブ(アイリッシュパブ)→売上・客数ともすべてプラス。
[ファストフード・低価格]トリドール→すべてマイナス。7月は98%台まで回復。客単価引き上げが要因。
各社バラバラの数字ですが、確固としたブランドを確立し、リピーターの多いスタバは、増税の影響をほとんど受けていません。一方で、競争の激しい総菜のRF1やファストフードのトリドールは増税の影響を受けています。スタバとRF1・トリドールの差は、来店動機の差かもしれません。来店動機が低いチェーンは、今後ますます厳しいかもしれません。
低価格部門では、王将とトリドールが苦戦。実質賃金が下落すれば、より価格の低いチェーンにシフトしそうですが、一気にコンビニにシフトしたのかもしれません。一方のハブは、消費増税の影響はほとんどなし。最近利用していないので、その要因はよくわかりませんが、これまでバーを利用していた人がハブに落ちてきたのかもしれません。さらに、居酒屋利用がハブにシフトしたことも考えられます。この場合、重要なのがカクテルという商材。カクテルは自宅ではそう簡単に作れるものではありません。コンビニでも、そう多くの種類を扱っていません。ハブは、カクテルニーズの獲得により、増税後もお構いなしに売上を伸ばしていると考えられます。つまり、ハブも来店動機が高いチェーンなのです。
ここまで論じてきてなんですが、来店動機の高い飲食チェーンが増税に強いなんて、当たり前ですね。いやいや、そうではありません。もう「なんとなくあそこで食べよう」なんていう弱い動機じゃ、商売続けられなくなったのですよ。参入障壁の低い飲食店ですが、撤退障壁はそれ以上に低くなったのではないでしょうか。
じゃ、どうやって来店動機を高めるのか、という話になりますが、一番簡単なのがメニューでしょうか。他店では食べられない特別な料理を提供することです。また、店長の個性を含めた接客サービスでも、来店動機を高めることが可能でしょう。外食機会が減るにしても、人間たまには外食したいもの。その時に選ばれるお店であれば、いいんです。
☆今日のまとめ☆
増税後も強い飲食チェーンは、来店動機が高いという共通点があるのではないか。
他店にはメニューや接客サービスで可能となる。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
もちろん、他店にできないということは、その裏に仕組みがあるということになります。
ハブにしても、競合が生まれてもいいものの生まれないのは、作成に時間が掛かるカクテルを短時間で作る仕組みがあるから。
だから、低価格での大量販売が可能なのでしょうね。
この辺りは科学になるので、外食チェーンで言えばサイゼリアの得意分野になります。
今のサイゼリアは業績が低迷していますが、あの会社はいずれアベノミクス腰折れとともに復活すると思います。