丸亀製麺の入門書を見れば、既存店売上をプラスにする秘訣がわかる(番外編)
最後に番外編として、入門書ではないですが、丸亀製麺が毎月やっている面白いサービスについて取り上げたいと思います。それは、
毎月1日の「釜揚げうどんの日」
です。
値下げ販促の一種なのですが、この特売にはある仕掛けがあります。
【丸亀製麺の「釜揚げうどんの日」に仕組まれた仕掛け】
- 半額というインパクトの大きな販促
- 毎月1回という定期的な実施
1について、値下げならクーポンなどで多くの飲食店が実施しており、特に目新しいことはありません。マクドナルドなんて、平日ランチ限定ですがセットメニューの値引き販売を行っています。丸亀製麺の「釜揚げうどんの日」が目の引くのは、「半額」という値付けと表現です。総菜売場でのよく目にするのですが、「◯◯%引き」と「半額」表示にはその売れ行きに大きな差が出ます。もちろん、大きく売上が伸びるのは、「半額」の方。丸亀製麺は、この売れ行きの違いに着目し、「半額」という価格設定と表現にしたのではないでしょうか。このインパクトにより、クーポン値引きが常態化した飲食業界で、丸亀製麺の「釜揚げうどんの日」は大きな注目を浴びるようになります。テレビCMなどのマス広告やチラシなどにお金を使うよりも、よっぽど効果は高いのではないでしょうか。ちなみに、同じ月一回の販促を行っているKFC(ケンタッキーフライドチキン)は、セット商品の価格を少し下げただけであり、丸亀製麺よりもインパクトに欠けます。
また、半額で来店しても、トッピングで客単価を引き上げることが可能です。簡単にトッピングを追加できる丸亀製麺の強みと言えるでしょう。さらに、半額ならば、値下げされた分だけトッピングに使うという人もいるでしょう。客単価を相当引き下げそうな半額販売ですが、利益率は落ちるものの客単価にはそう大きな影響がない可能性があります。
2について、定期的に実施することにより、「毎月1日は丸亀製麺で食べよう」と考える人は増えるのは事実。これにより、最低でも月一度は丸亀製麺を思い出してもらえることになります。情報量が増え、相当大きなインパクトがあるか好きなコトでもない限り記憶に残りにくい中、月一回その存在を思い出してもらえることは、大きな強み。来店につながる保証のないチラシやテレビCMを流すよりも、集客効果は高いのです。月一回の実施は、マインドシェアを高める施策なのです。
このように考えると、「釜揚げうどんの日」は、客数の維持・拡大に寄与することがわかります。客数の減少に悩む飲食店が多い中、単に値下げによる一時的な集客増ではなく、マインドシェアを上げながらリピーター育成を目指す丸亀製麺のやり方は、参考になるのではないでしょうか。
☆今日のまとめ☆
丸亀製麺の「釜揚げうどんの日」は、半額というインパクトで集客をもたらすだけではなく、月一の定期実施によりマインドシェアを高める効果がある。
これにより、新規顧客獲得・既存顧客の囲い込みにとどまらず、リピーター育成が期待できる。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
ただし、半額という利益度返しになりかねない方法は、大企業だからできることでもあるので、注意が必要。