日用消耗品のネット通販普及がもたらす食品販売への影響とは?

野菜

 

最近、日常的に利用する消耗品をネットで買うことが多いのですが、これが本当に便利なんです。例えば、醤油などの調味料や日本酒などの酒類は、重くて運ぶのが大変ですが、ネットなら自宅まで指定した日時に運んでくれます。さらに、再度購入する場合は、購入履歴のリンクをクリックするだけ。初めて購入する際には、購入者の感想まで参考にすることができるのです。しかも、最近は大手スーパーチェーンの参入もあり、価格もかなりお手頃。特売価格よりは高いものの、プロパーの価格で比べると、ネットの方が安いものがあるほどです。ちなみに、今取り上げている通販サービスは、ネットスーパーではなく常温保存可能の商品だけを取り扱うネット通販。例えば、西友ドットコムやLOHACO,楽天24などが該当します。

 

だからと言って、すべての食料品がネット通販に移行することはないでしょう。生鮮品などは、輸送時の保管に問題がありますし、それにモノによって状態が異なるので、実際に自分で確かめたい人も多いはず。確かめることを諦めれば、ネットスーパーを利用する手もありますが、ネットスーパーの場合は、送料無料になる最低購入金額が比較的高めなので、送料が嫌で敬遠する人も多いでしょう。また、ネット通販を便利に利用しようとすれば、クレジットカードの利用は必須。スーパーのレジを垣間見てつくづく思うのですが、スーパーでのクレジットカード利用はまだまだ少数。クレジットカード・電子マネー専用レーンのある店舗でも、通常レーンに行列が出来ていても、専用レーンはガラガラということはよくあります。クレジットカードの利用を避けたい人の多くは、スーパーやドラッグストアからネット通販へシフトしないでしょう。

 

問題は、クレジットカード利用者かつネット通販で消耗品を購入する人達が、店舗で消耗品を買わなくなるということ。これまでなら、消耗品の特売で集客し、プロパー価格の商品やプレミアム商品の販売で利益を稼いでいたのですが、消耗品をネット通販で買う人達には、このモデルが通用しなくなります。もし、プロパー価格の商品やプレミアム商品を購入していたのが、消耗品をネット通販で購入する層ならば、そもそも消耗品の特売が必要でなくなるかもしれません。もしくは、激しい値下げは不要になるかと。逆に、激しい値下げをしても、それだけしか買わない層しか集客できなければ、上記のモデルが利益を生まない恐れさえあります。

 

「激しい値下げをしても、さほど売上は伸びない」という要因に、消耗品をネットで買う優良顧客の存在があるかもしれません。一方で、ネットでの購入が見込めない生鮮品や総菜を強化した店舗・チェーンは、優良顧客の維持・集客に成功したために、既存店売上がいいのかもしれません。そう言えば、次のようなインタビュー記事がありました。

 

個人消費の回復がもたつくなか、都市部の食品スーパーが好調だ。首都圏と関西に約250店を展開するライフコーポレーションは消費増税後にもかかわらず2015年2月期の業績予想を2度上方修正、営業利益は前期を2割上回る見通しだ。岩崎高治社長に好調の要因と戦略を聞いた。(中略)

1億総中流の時代に4人家族を前提に築かれたビジネスモデルを変革する。コンビニなどとの違いを出すには生鮮食品の品ぞろえと品質を追求した総菜が重要だ。(2015年2月15日付 日経新聞朝刊)

 

日常的にライフを利用しているわけではないですが、何度か訪問したところ、価格はそう低いとは感じませんでした。どちらかというと、うまく値上げしている。価値を高めて、それをうまく伝えて、高く販売するスタイルでしょうか。どこでもこのスタイルが成功するとは思いませんが、少なくとも優良顧客の維持・拡大には効果を発揮するでしょう。

 

ネット通販の食品市場侵食により、優良顧客を獲得できるかどうかが、食品小売の成否を分けるように思えてなりません。

 

☆今日のまとめ☆

消耗品のネット通販市場が拡大すると、消耗品の特売で優良顧客を集客できなくなるかもしれません。

生鮮品と総菜に力を入れたスーパーの業績がいいのは、ネットがこれらカテゴリーを不得手とし優良顧客を維持・拡大できたからではないか。

 

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  • 今日のこぼれ話☆

先日、ディナータイムにセンタープラザの天ぷら専門店まきのを覗いたのですが、行列が出来ていました。

大幅値上げしても、競争力は高そうです。

 

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