【544号】ホテル予約サイト・ゲストモブ、成熟市場に新規参入できた要因とは?

ホテルBy Love My Tours

 

◎本日のニュース

1)見出し
Guestmob Challenges Online-Travel Incumbents

【出典】
http://goo.gl/UhWGC

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2)要約
ホテル予約サイトのゲストモブが、

全米20都市でサービスを開始した。
このサービスの特徴は、都市・期日・予算を指定すれば、
3つ星以上のホテルが20~50%割引できるというもの。ただし、
宿泊日の数日前まで、どのホテルに泊まれるのかわからない。
3日前まではキャンセル可能で、全額返金される。オンライン旅行代理店市場は、老舗のプライスラインや
エクスペディア、比較的新しいカヤック、
クーポンサイトのグルーポン・リビングソーシャルが
ひしめく成熟市場である。ゲストモブはこの成熟市場に参入するために、
洗練されたアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムによって、
指定した期日・ホテルの予約状況・料金を予測する。

さらに、顧客が購入してからホテルの客室を仕入れるので、
キャッシュフロー上有利に事業を運営できる。
これらの強みを活かして、北米ホテル予約市場約6000億ドルのうち
50~100億ドルの獲得を目指す。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Drawing on years of research about travel, hotels and cities,
Guestmob employs sophisticated, proprietary algorithms
to predict occupancy in and demand for hotels for a given date.

4)キーとなる英文の和訳
旅行やホテル・都市に関する調査を何年も行った結果、
ゲストモブは独占所有権を持つ高度なアルゴリズムを開発した。
このアルゴリズムを使えば、指定した期日の
ホテルの予約状況や需要を予測することができる。

5)気になる単語・表現
draw on自動詞句~を利用する、当てにする
sophisticate他動詞~を世慣れさせる;~を複雑化する、精巧にする
proprietary形容詞所有者の;商標で守られた、独占所有権のある

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
ゲストモブ(Guestmob)は、正社員7名しかいないスタートアップ企業。
その創業間もない企業が、オンライン旅行業界という成熟市場に参入した。
ちなみに、記事で紹介されたオンライン旅行業界の企業は、
老舗のプライスライン(Priceline)・ホットワイヤー(Hotwire)・
エクスペディア(Expedia)・オービッツ(Orbitz)・トラベロシティ(Travelocity)、
比較的新しいカヤック(Kayak)、クーポンサイトのグルーポン(Groupon)・
リビングソーシャル(Living Social)である。

ゲストモブが、オンライン旅行業界という成熟市場に参入できた理由は、

既存企業が見逃していた旅行者の本当のニーズに注目したから

である。この本当のニーズというのは、

「予算内で特定の都市の3つ星以上のホテルに泊まりたい」

である。特に、どのホテルに泊まりたいわけではない。
一定のクオリティが担保された3つ星以上のホテルで、
旅行先の都市にあり、予算内で泊まることができればいい。
このニーズを持つユーザーの支持を得ることができる。

ただ、このニーズに注目することは、他の企業でもできる。
だから、参入後に似たサービスが出てきてもおかしくない。
そこで、このサービスを展開する上での参入障壁が必要になる。
これが、要約で説明したアルゴリズムである。このアルゴリズムを使えば、
特定ホテルにおける特定期日の予約状況を予測できる。
この予測をもとに、客室料金を決める。ゲストモブは、
このアルゴリズムの独占所有権を持っているので、
このアルゴリズムを参入障壁として活用できる。
他社の利用できないアルゴリズムを持つという強みを活かしてこそ
旅行者の本当のニーズを満たすサービスを独占的に提供できる。

さらに面白いのは、このアルゴリズムを使うことによって、
販売前に仕入れ資金を調達することが不要になる
というメリットを享受できる。アルゴリズムによって予測した
ホテル予約状況・宿泊料金をもとに、特定日における特定都市の
ホテル宿泊料金をサイト上に掲載することができる。その結果、
ホテルの客室を仕入れることなく販売できる。そして、
販売数を確定後、特定都市にある3つ星以上のホテルと、
特定日の宿泊料金を交渉。交渉の結果、サイト掲載料金以内に
抑えることができれば、そのホテル客室を仕入れる。
客室の販売金額が仕入れ金額よりも高いことを考えると、
仕入れ金額は販売金額で賄うことができる。融資や出資などにより
仕入れ資金を調達する必要がなくなるので、キャッシュフロー上
有利に事業を展開できる。(もちろん、サイト掲載金額よりも
客室の仕入れ金額が高くなれば、自腹を切ることになる。)

ただし、たとえニーズを満たしても、そのサービスの使い勝手が悪ければ、
ターゲット層から支持を受けられるわけではない。この点でも、
ゲストモブは優位に立つ。ゲストモブの仕組みは、都市と
宿泊予定日を指定すれば、その条件に当てはまる3つ星以上のホテルを
20~50%引きの金額で予約することができる。一方、
同様のサービスを提供するホットワイヤーは、ホテルのクオリティを担保できない。
また、オークションサービスは、高値が更新されると価格を何度も
提示しなければならない。このシンプルな利用方法も、
ゲストモブが成熟市場に参入できた大きな理由と言えるだろう。

まとめると、次のようになる。

【ゲストモブが成熟市場に参入できた理由】
1.これまで見逃されていた旅行者の本当のニーズに注目したから。
2.シンプルなサービスを提供することにより、
そのニーズを満たしたから。
【参入を可能にさせた要因】
1.将来のホテル需要を予測するアルゴリズムの独占所有権を持つから
2.アルゴリズムを利用することにより、
キャッシュフローへの負荷が掛からないビジネスモデルが可能となる。

成熟市場に新規参入する場合、ゲストモブのアルゴリズムのような
既存企業にはない強みが必要になる。そして、新規参入後有利に
事業を進めるためには、キャッシュフローへの負荷がかからない
ゲストモブようなビジネスモデルが必要となる。

Guestmob https://www.guestmob.com/

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《今回のヒントのまとめ》
1)スタートアップ企業のゲストモブが、
成熟市場のホテル予約業界に新規参入できたのは、
既存企業がこれまで見逃していたニーズを見出すことが
できたからである。また、シンプルなサービスを提供できたことも、
既存企業との差別化となり、新規参入を可能にさせた。

2)さらに、独占的に利用できるアルゴリズムのおかげで、
他社の追随を難しくさせるだけでなく、キャッシュフロー
上有利に事業を展開できることになった。

3)このように、成熟市場に新規参入する場合、
既存企業が見逃しているニーズを見出し、
そのニーズを持たすサービスをシンプルな形で提供する必要がある

4)これらを可能にさせるのが、他社にはない強みの存在であり、
事業を有利に展開できるビジネスモデルである。

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編集後記
先週末は友人の結婚式に参加しました。
(参加したみなさん、お疲れ様でした。)
久しぶりに合う友人もおり、学生時代の話に華が咲きました。
何でも話せる友人は、本当に宝ですね。
これで、昨年9月から続いた結婚式参加シリーズ三部作は終了。
それにしても、結婚式の形っていろいろあるんですね。
勉強になりました。

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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