中小企業はマクドナルドの1000円バーガーを真似てはいけない。
by courtesy of ソウル情報局
またまた、マクドナルドの1000円バーガーを取り上げたいと思います。なぜ、ここまでこの商品にこだわるかと言えば、値上げや客単価引き上げを望む企業が多いと思うから。人口減少を考えると、単価引き上げはどの企業も避けられません。大手チェーンは、客数増にひた走りますが、これは大手だからできること。規模が小さくなると、単価引き上げを目指す方がより失敗リスクは小さいと考えます。
とはいえ、マクドナルドの1000円バーガーを真似るのはどうかと思います。というのは、大手チェーンだからこそ、できる力技にすぎないからです。そう考えるのは、
ターゲットがはっきりしない
から。マクドナルドの1000円バーガー・クォーターパウンダージュエリーに関するプレスリリースを見ると、次のように述べられています。
この“QUARTER POUNDER JEWELRY”シリーズは、マクドナルド独自のおいしさと革新性をお客様にご体験していただくためのキャンペーンです。これまでの常識を覆すマクドナル ドの新たな試みを、ぜひこの機会にご体験いただき、これまで誰も食べたことのない“QUARTER POUNDER JEWELRY”のリッチな味わいをお楽しみください。(日本マクドナルドのプレスリリースより)
この文章を読む限り、
より美味しいものを食べたい
という人がターゲットのようです。
一方、マクドナルドの既存顧客は、
割安さを第一に考える人
ではないでしょうか。その代表格は、中高生とサラリーマン。食べ盛りの中高生にとって、マクドナルドは安上がりな溜まり場。だからこそ、部活が終わった19時頃に、マクドナルドでは中高生が談笑しているのです。また、ちょっとした時間を潰したいサラリーマンにとって、マクドナルドは100円で座れる場所なのです。この両者にとって、「より美味しいものを食べたい」というニーズは、優先順位が低いのです。
マクドナルドの既存顧客として、もう一つ重要な層を忘れていました。それは、
ファミリー層
です。よくあるパターンは、子供を連れた母親。この場合も、マクドナルドに求めるものは、
割安さ
周りを気にせず自由にくつろげる空間
ではないでしょうか。「美味しさ」も無いわけではないですが、優先順位はさほど高くありません。
つまり、マクドナルドのクォーターパウンダージュエリーは、既存顧客のニーズに合致するものではなく、これまで取りこぼしていた消費者層を開拓するものであり、その先には客数増があります。マクドナルドという超有名ブランドだからこそ、大手マスコミがこの高単価ハンバーガーを取り上げたのです。そして、その話題性も、多くの店舗を構えるからこそ、実際の客数増・売上増につながるのです。
もし、マクドナルドが中小企業だったら、どうでしょう。多くの人が知っているブランドでなければ、マスコミもここまで取り上げないでしょう。仮に取り上げたとしても、2・3店舗しかなくては、多くの人は興味があっても行けません。せっかくの話題性の大きさが、売上につながらないのです。新たに顧客を開拓するのは、とても大変ということがわかるかと思います。
もちろん、中小企業にとって、客数を増やすことが不可能であるわけではありません。一番手っ取り早い方法は、既存顧客の口コミ・紹介ですね。今いるお客さんをいかに喜ばすか、これが一番優先すべき方法だと思います。だから、客数増をめざしたマクドナルドの1000円バーガーは、あまり参考にならないのです。
☆今日のまとめ☆
マクドナルドの1000円バーガー・クォーターパウンダージュエリーは、既存顧客向けではなく、客数増を目指したもの。
これができるのは、その話題性を売上に変えられる高いブランド力と店舗数の多さゆえである。
しかし、中小企業には、そのようなブランド力や店舗数はないので、話題性が売上に直結しにくい。
よって、マクドナルドの1000円バーガーは、中小企業にとってあまり参考にならないだろう。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
1000バーガーのパッケージ、かなり差別化されているようですね。
見た目が美味しさに影響するという考えは、金の食パンと同じですね。