実店舗小売の強みとコンビニの弱み
先日の日経MJで、見直される実店舗小売が特集されていました。ネット通販の普及によって、ショールーム化にさらされる中、一方で実店舗型小売店の良さが見直されています。実際、ショールーム化によって一番悪影響を被るとされていた家電量販店は、アベノミクス効果・駆け込み需要の効果もあり、収益が回復傾向にあります。
アナログな商品やサービスに注目が集まるのはなぜなのか。博報堂買物研究所の青木雅人所長によれば、消費者がモノを買うこと自体でなく、そのプロセスを重視するようになっていることが底流にはあるという。今後はデジタルとアナログを組み合わせたサービスが重要になるという。(2014年1月6日付 日経MJ)
実店舗型小売が見直される理由をまとめると、次のようになります。
【実店舗型小売店が見直される理由】
[世帯構造の変化]単身世帯が増え、寂しさから人と接したい人が増えているから
[情報量の変化]増大する情報の取捨選択が難しくなり、人のアドバイスを求める気持ちが強まっているから
[消費行動の変化]モノ自体の差別化が難しくなり、モノではなく買い物自体に楽しさを求めるニーズが強まっているから
デパ地下を見ていると、寂しいからデパ地下で購入しているシニア層は多いように思えます。デパ地下なら、野菜一つ買うのでも、店員と会話できるからです。アドバイスに関しては、家電量販店でしょうか。買い物自体を楽しむことについては、オクトーバーフェスタの人気に表れているように思えます。一杯のビールに1000円近く掛かりますが、ビールそのものというよりも、ドイツのような雰囲気の中で飲む楽しさが満喫できます。
このように考えると、基本セルフ・サービスであり、店員とのコミュニケーションもほとんど期待できないコンビニは、実店舗型小売の強みを全く持っていないことになります。これこそがコンビニの弱みではないでしょうか。
競合するコンビニのみならず、スーパーや喫茶市場にまで進出するコンビニ。その競争力は凄まじく高いですが、実店舗型小売の持つ強みを持っていないという弱みがあります。この点に焦点を当てれば、コンビニの脅威から逃れられるのではないでしょうか。
☆今日のまとめ☆
実店舗型小売は、「接客によって寂しさを和らげる」「アドバイスを提供できる」「買い物自体の楽しさを提供できる」という強みを持つ。
コンビニは、この強みを持たず、これが弱みとなる。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
そもそもコンビニは、接客・豊富な品揃えを排除することで、抵抗コスト運営が可能となり、多種多様なサービスの提供が可能となったとも言えます。