フライドポテトの価格が表す、マクドナルド・モスバーガーの業績・戦略の違い。
先日、友人からマクドナルドのメニュー表をもらいました。マクドナルドでは、カウンターの価格を廃止したのに伴い、メニュー表を配布しているようです。一部のお店だけかもしれないですが、このようなプリントアウトされたメニュー表を配るぐらいなら、従来通りカウンターにメニュー表を置いておけばいいのに。こんなことを思うのは、私だけでしょうか。
このメニュー表を見て、驚いたことがあります。それは、フライドポテトの価格が異様に高いということです。もらったメニュー表に掲載された代表メニューとその価格を抜粋すると、以下のようになります。
【とあるマクドナルドのメニューとその価格】
[サイドメニュー]
ドリンクS 100円
ホットアップルパイ 100円
ジューシーシャカシャカチキン 100円
チキンマックナゲット(5個) 190円
プチパンケーキ 180円
マックフライポテトS 210円
サイドサラダ 280円
[メインメニュー]
ハンバーガー 100円
フィレオフィッシュ 270円
てりやきマックバーガー 280円
ビッグマック 320円
いずれも単品メニューです。サイドメニューでは、マックフライポテトの価格の高さが際立っています。このメニュー表を見て、初めて知りました。普段フライドポテト単品を注文することはあまりないですが、小腹がすいてフライドポテトを食べたくなった時、この価格を見て、入店を諦めると思います。そして、この時
マクドナルド=意外に高い
という認識を抱くことでしょう。
今回の驚きは、マックフライポテトに関してですが、メインメニューを見ても、その価格設定に不思議を感じます。ハンバーガーは安いものの、それ以外の商品はハンバーガーに比べて異常に高いからです。「ちょっと時間がないから、マックでさっとハンバーガーでも買おう」と考える人なら、この価格の高さにたじろぐのではないでしょうか。
もちろん、セットメニューを頼めば、お買い得な価格になります。しかし、ランチやディナー需要は、人口が減少していることを考えると、これ以上のシェア獲得は容易ではありません。一方で、小腹が空いた時やちょっとした休憩での喫茶利用は、今後増えることが見込めます。だからこそ、セブン-イレブンなどのコンビニ各社が、淹れたてコーヒーに力やスイーツに力を入れているのです。そして、次のような記事もありました。
モスフードサービスは23日から新しいデザートブランド「カップパティシエ」を立ち上げ、期間限定で 5商品を投入する。売れ行きをみながら商品を入れ替えていき、息の長いブランドに育てる。デザートに強いコンビニエンスストアと昼食後の集客力があるコー ヒーチェーンに対抗する。(2013年4月8日付 日経MJ)
マクドナルドと同じハンバーガーチェーンのモスバーガーは、サイドメニューのデザートに力を入れているようです。これは、喫茶需要を獲得するために他なりません。ハンバーガーというメインメニューに力を入れるマクドナルドと、対照的です。そして、既存店売上高も、対照的な数字になっています。
【過去12ヶ月間の既存店売上高比較】
[マクドナルド]すべて前年割れ
[モスバーガー]4ヶ月前年クリア
モスバーガーも、決して既存店売上高がいいとは言えませんが、1年のうち1/3は前年同期比100%以上になっているので、健闘していることは間違いありません。さらに、サイドメニューの価格を見て、マクドナルドとの差を実感しました。
【モスバーガーのサイドメニュー価格】
フライドポテトS 190円
グリーンサラダ 210円
フライドポテトS・サラダとも、マクドナルドよりも安いのです。
モスバーガー=高いファストフード店
というイメージがあるだけに、これは意外。この価格差を目の当たりにすれば、
モスバーガー=意外に安い
というイメージが生まれ、喫茶利用だけでなくランチ・ディナーでの利用も増えるのではないでしょうか。「意外に高い」というイメージを植え付けかねないマクドナルドとの差は、かなり大きくなります。
小腹が空いた時やちょっとした休憩という喫茶需要に対する差が、マクドナルドとモスバーガーの差を生み出しているように思えます。
☆今日のまとめ☆
フライドポテトの価格を見ると、マクドナルドは「意外に高く」感じ、モスバーガーは「意外に安く」感じる。
この差が、喫茶利用のみならず、ランチ・ディナー利用の獲得にも違いをもたらし、既存店売上高の差を生み出すのではないか。
マーケティング・ビジネスのヒントに関するブログも書いています
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
昨日取り上げた、「ちょっと食べたい」というニーズに関しても、サイドメニューの高いマクドナルドは、拾うことができなくなりますね。
3月既存店実績では客数が増に転じたようですが、マクドナルド低迷の要因はかなり根深い思います。
☆ 最近気になる商品☆
またまた、ワインで申し訳ないですが、こちらのオーストラリアワイン、かなり気になっています。
というのも、ダイエー・ライフ・阪急オアシスなど、大手チェーンには必ず入っている銘柄だからです。
それだけ、売れている証拠かもしれませんし、もしくは、単に卸のパワーを表しているのかもしれません。
比較的価格も低いので、一度飲み比べてみたいですね。
比べて飲むのは、サンライズ・イエローテイルあたりになりますね。