RF1の既存店売上がプラスになったのは、柿安ダイニング化したから?
※RF1のサラダではありません。
先日、デパ地下惣菜店・RF1が、1年ぶりに既存店売上高をプラスに転じさせたことを、取り上げました。その記事では、その要因についていろいろ推測したのですが、実際のところどうなのかはわかりません。そこで、実際の店舗を見てみることにしました。視察したのは、阪神梅田本店にあるRF1です。
行った時間は、午後8時半ごろ。閉店時間が9時なので、すでに閉店セールが始まっています。そこで目にしたのは、今までにない光景だったかと思います。その光景とは、
すべての商品がすでにパック詰めされている
というショーケースの光景でした。柿安ダイニングやまつおかなど他の惣菜店では、閉店セール前にほぼすべての商品がパック詰めされており、特に珍しいことではありません。しかしRF1は、閉店セールが始まっても、ほとんどの商品を量り売りしていたような気がします。そして、閉店セール中に徐々にパック詰めを行うものの、それでも他の惣菜店とは異なり、量り売りを行なっていたと記憶しています。だから、すべての商品がパック詰めになっているRF1は、とても異様なのです。
閉店セールと言えば、割引目当ての来店客で混み合う時であり、売上の稼げる時間帯でもあります。しかし、閉店時間というデッドラインがあるので、時間との戦いという様相もあります。この売りが取れる時間に、パック詰め商品を販売するのか、量り売りをするのかでは、大きな差が生まれるのです。
【デパ地下閉店セールの販売手法による売上の違い】
[パック詰め商品の販売]手際よく販売できる→販売ロスが小さくなる
[量り売り]接客・販売に時間が掛かる→販売ロスが大きくなる
RF1は、この販売ロスの違いに着目し、量り売りをやめてパック詰め商品の販売に切り替えたのではないでしょうか。販売ロスが小さくなれば、閉店セール時間での売上は拡大し、既存店売上が増加します。その結果、既存店売上がプラスに転じたのではないか、と思うのです。
ロック・フィールドの決算説明資料を見れば、
閉店前の機会ロスを減らし、積極的な販売施策を行う
と目標が設定されています。この一環として、閉店セール時の量り売りを極力止めて、パック詰め商品の販売に切り替えたのだと思います。
RF1のメイン商品はサラダ。だから、個数で販売する揚げ物よりも、量り売りするには時間が掛かります。また、サラダでもフレッシュな葉野菜メインの商品が多いので、ポテトサラダなどの固形・しっとり系サラダよりも、余計に時間が掛かることになります。これが、RF1と柿安ダイニングの大きな違い。さらに、柿安ダイニングでは、閉店セール中の量り売りをほとんどやらず、パック詰め商品の販売に徹しています。この点から言えば、RF1の販売手法は、柿安ダイニングに近づいたとも言えるでしょう。
RF1による閉店セール時の量り売り中止・パック詰め商品の販売強化は、販売効率をアップさせることにより販売ロスを小さくするためもの。これが成功したということは、販売ロスを小さくさせる別の施策が今後行われるかもしれません。
☆今日のまとめ☆
RF1の既存店売上が1年ぶりにプラスに転じたのは、閉店セール時の量り売りを止めて、パック詰め商品の販売に転換したからではないか。
これにより販売効率がアップし、販売ロスを小さくできる。
今後、販売ロスの最小化を目指した別の施策が行われるかもしれない。
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☆ 今日のこぼれ話☆
商品の同質化と価格競争の激化は、どの業界でも起こっていること。
ならば、より効率よく売ることで増益を図ることは、とても重要になると思います。
サービスを維持しながらスピードをアップさせることは、二律背反になりがちだからこそ、そこに競争力が生まれるのではないでしょうか。