小売チェーンの改装重視が示すモノが売れる理由
小売チェーンが出店から改装に重点を切り替えるようです。
イオンは2015年度(3月~16年2月期)の国内スーパーの設備投資を前年度比6割増の1600億円にする。既存店舗の改装投資が中心になる。イトー ヨーカ堂も同3倍増の80店で売り場を見直す。大手3社の総額は前年度比5割増の2600億円で、東日本大震災以降では最も高い水準になる。大型の新規出 店を中心とする規模拡大の投資から、人口動態や顧客ニーズの変化をきめ細かく取り込む改装投資に軸足を移す。(2015年4月15日付 日経新聞朝刊)
イオン幹部によると、建築費用の高騰が改装シフトの理由とか。また、好立地の獲得競争が激化することにより、家賃負担が上昇し、さらに人手不足による人材獲得コストも上昇しています。新たに店舗を出しても、出店・運営コストとも高く付き、割が合わないのかもしれません。
改装へのシフトは、スーパーだけではないようです。
日本マクドナルドホールディングスは店舗改装を加速させる。2015年12月期の改装店舗数は230店程度とし、前期比で100店ほど上積みする。異物 混入問題などを受けて客数が大きく減少しているため、改装によって集客力を取り戻す。投資額は新店分なども含めて約200億円の見通しだ。(2015年4月15日付 日経新聞朝刊)
同日の朝刊でよく似た記事が出るということは、店舗型ビジネス全体が出店から既存店活性化=改装にシフトしていると言えるでしょうか。
改装重視の背景には、もちろん消費者ニーズの変化があります。消費者向けビジネスをしている企業が新たな施策を打ち出したということは、その裏に消費者ニーズの変化がある。いつもそう考えています。
その変化とは、
販売商品よりも店舗雰囲気で利用店舗を決める
ということです。つまり、消費者は、「何が欲しいか」から「どんなお店で買いたいか」ということを重視しているように思えるのです。この背景には、競合同士の販売商品が似通ってきて商品そのものでは、購買意欲が掻き立てられなくなったことが、あるのかもしれません。出店よりもコストは低いものの、改装にも大きなコストが掛かるもの。大きなコストを掛けて改装するのは、改装により購買意欲を掻き立てられると考えているからです。消費者は、モノではなく雰囲気で消費する場面が増えたのかもしれません。
同じことは、ネット通販の世界でも起こっているようです。
楽天は14日、幻冬舎と連携してスマートフォン(スマホ)で見る無料のファッション誌を創刊する。20~30代の女性に着こなしなどを提案し、掲載商品をネット通販「楽天市場」で買えるようにする。幻冬舎の女性誌が監修し、流行や商品の特徴を訴えやすくする。衣料品のネット販売は試着ができないことが普及のカベとされてきたが、若者を中心に急速に普及しつつある。独自サービスで競争力を高める。(2015年4月14日付 日経新聞朝刊)
楽天がわざわざ幻冬舎に手数料を支払ってまで、スマホ専用無料女性誌を発行するのは、それにより購買意欲が掻き立てられると考えているからに他なりません。商品自体は、楽天に出店した企業が販売する商品であり、別途通販ページがあるのでしょう。わざわざスマホ専用雑誌を他社と作らなくても、通販ページで商品をアピールすればいいのです。スマホ専用女性誌を発行するということは、楽天市場の女性用ファッション売り場の改装と捉えることができます。
メーカー側から言えば、どこで売るかが売上に大きく影響を及ぼすということになります。
☆今日のまとめ☆
出店よりも改装重視に小売チェーンが転換するのは、商品自体によりも売り場の雰囲気が売上に大きく影響を及ぼすからではないか。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
今年は日本酒を飲む量を減らそうかと考えています。
糖質が恐いから。