バーガーキングがクラフトビールを売る理由

ファストフードチェーン

 

地ビールという言い方はもう無くなってしまったのでしょうか。それぐらい、地ビールの代わりにクラフトビールという言葉の利用が増えました。厳密に言うと、地ビールとクラフトビールはその意味合いが違うのでしょうが、クラフトビールだからこれほどまで注目を浴びるようになったのだと思います。

 

そのクラフトビールを、バーガーキングがメニューとして提供するようです。

 

お酒やつまみを手軽に楽しむ「ちょい飲み」に対応するファストフード店が増えている。ロッテリアは提供店舗を2・5倍に増やし、バーガーキング・ジャパン(東京・渋谷)も7月から約50店で本格的に取り扱う。(2015年6月25日付 日経新聞朝刊)

 

ファストフードチェーンが、ちょい飲み需要の獲得のため、アルコール販売に力を入れるようです。ちょい飲み需要というのは、短時間・低予算での外飲み需要。

 

ちょい飲み需要=短時間・低予算での外飲み需要

 

具体的には、1000円程度で30分間ちょっと飲みたいというニーズです。3000円・2時間の総合居酒屋が苦しいのは、ちょい飲み需要の拡大も影響しているからでしょう。時間あたりでは

 

ちょい飲み=2000円/一時間

総合居酒屋での飲み=1500円/一時間

 

なので、総合居酒屋の方がコスパは高いのですが、支払金額だけみると、2000円も違います。できるだけ支払いを低く抑えたいというニーズが高いこともわかります。

 

ちなみに、ちょい飲み需要が高い一方で、豪華な外食へのニーズも高まっているようです。つまり、外食への支出がメリハリのあるものになっているということ。だから、高級フレンチのひらまつの業績はすこぶるいいのでしょう。店舗数が増えているのもありますが、あの高い客単価でここまで成長しているということは、豪華な外食へのニーズが高いということでもあります。この点でも、総合居酒屋は辛いですね。

 

ファストフードチェーンがアルコールを提供することは、企業にとってのメリットもあります。

 

【ファストフード店がアルコールを提供するメリット】

  1. 新規顧客の開拓・ブランドロイヤリティの向上
  2. 客単価の引き上げ
  3. 夜間売上の向上

 

1に関して、利用機会が増えるということで、ブランドとの接触機会も増えることにもなります。これまで利用したことがなかった人がそのチェーンを利用すれば、新規顧客の開拓となるとともに、ランチ利用も期待できます。さらに、既存顧客のちょい飲み利用が増えれば、ブランドロイヤリティが向上し、顧客のマインドシェアが拡大します。結果的に、売上の安定につながります。

 

2に関して、ファストフードのメニュー単価の中では、アルコールの単価は比較的高いでしょう。アルコールを販売することで、客単価の向上が期待できます。

 

3に関して、ディナータイムのファストフード店を覗くと、客の入りが悪い店が多いことに気づきます。そう、ファストフードの主戦場はランチであり、ディナータイムは、売上が少ないと諦められていた時間帯なのです。アルコールを提供することによって、この時間帯の売上を確保・拡大することができます。家賃・人件費など固定費の高い店舗ビジネスにとって、暇な時間帯の売上はとっても嬉しいものなのです。

 

バーガーキングが、アルコールの中でもクラフトビールを提供するのは、そのブランド特性との兼ね合いでしょう。居酒屋やバルと同じように大手レギュラービールを販売すれば、バーガーキングらしさ・特性が出てきません。だからこそ、クラフトビールを売るのだと思います。

 

また、ターゲットが似ていることもあるかもしれません。一般受けするレギュラービールを販売するよりは、品質重視の人が好むクラフトビールを販売した方が、品質重視のバーガーキングの商品売上につながりやすいからです。クラフトビールを売ることで、これまでバーガーキングを利用したことのないクラフトビールファンに来店してもらえれば、ランチでの利用も期待できます。夜間の売上だけではなく、ランチ売上にも貢献してくれます。

 

いずれにしても、ファストフードのアルコール提供は、アルコール提供の専業だった居酒屋・バル・バーにとって向かい風であることは間違いありません。こうやって、一回の利用料金の低い業態にシフトすることによって、外食産業の市場規模が縮小してきたのかもしれませんね。

 

☆今日のまとめ☆

ファストフードチェーンがアルコールを提供するのは、消費者のちょい飲みニーズに対応するためであり、また企業にとっては、新規顧客開拓・ブランドロイヤリティの向上、客単価の向上、夜間売上の確保・向上というメリットがあるからである。

バーガーキングは、クラフトビールを提供することで、そのブランド価値を維持するとともに、品質重視のクラフトビールユーザーの獲得により、品質重視のバーガー売上拡大を狙っているのではないか。

 

アメリカビジネスの最新事情メルマガはこちら

ワインを知れば、おもしろい

WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません

日々気づいた雑感はTwitterで発信中

すいません、Facebookはほぼ引退しました

年5%で資産運用する方法はこちら

 

 

  • 今日のこぼれ話☆

アルコールは単価が高く、利益率も高く、さらに一回あたりの購入点数も多い(酔っ払って、ノリで注文してくれるため)ので、店舗にとってはオイシイメニューだったのですが、これも過去のものになりそうです。

今後、スタバなどのカフェも、アルコール提供をするのでしょうね。

さぁ、ワタミどうする?

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です