【値上げ考】単純値上げでもすぐに客数が戻るパターン
前回は、マクドナルド失速の元々の要因として、単純値上げによる顧客の店離れについて述べました。今回は、単純値上げでも顧客がすぐに戻るパターンについて話したいと思います。
このパターンが成立したのが、りくろーおじさんと天ぷら定食まきの。りくろーおじさんは、600円を切る焼きたてチーズケーキの価格を600円超に引き上げました。一方のまきのは、590円のまきの定食を690円に値上げ。いずれのチェーンも、値上げ当初は行列が無くなるほどにまで客数が減少しました。
しかし、値上げ後1ヶ月ほどしてからでしょうか。また行列が復活。行列に並ぶ人の数がどれだけ変化したかはわかりませんが、以前とさほど変わらない長さの行列が出来ています。特に割引クーポンを配った様子もなかったので、単純に顧客が戻ってきたようです。
同じ単純値上げを行ったりくろーおじさん・まきのとマクドナルド。しかし、前者は顧客がすぐに戻りましたが、後者は今でも客数減に悩まされています。その違いの要因は、次の通り。
【客数がすぐ戻ったりくろーおじさん・まきのといまだ客数減に悩むマクドナルドの違い】
[りくろーおじさん・まきの]競合商品と比べて、値上げ後の価格でも依然割安だから
[マクドナルド]競合商品と比べて、値上げ後の価格は割高になったから
りくろーおじさんの競合商品は、デパ地下のロールケーキでしょうか。まきのの場合は、うどん・そば店の天ぷら定食になるでしょう。これら競合品に比べれば、値上げ後の価格でも依然割安なのです。値上げ当初は、割高感を抱くものの、冷静に競合品と比較すれば依然割安。顧客がこの事実に気づいたから、店舗に戻ってきたのだと思います。
一方のマクドナルドの場合、競合品は牛丼チェーンの牛丼やコンビニ弁当になるでしょうか。牛丼並盛なら、300円でお釣りが返って来ます。コンビニ弁当なら、500円出せば、ボリューム感満点の弁当からヘルシーな弁当までいろいろ選べます。これらの競合品に比べれば、マクドナルドのセットは600円前後が多いため、割高感が出てきます。この結果、顧客のマクドナルド離れが起こったのではないでしょうか。
値上げ後の価格が、競合品と比べて割安かどうか。割安感で勝負する商品は、競合品との比較が重要なのです。
☆今日のまとめ☆
同じ単純値上げでも、りくろーおじさんとまきのは顧客がすぐに戻ったが、マクドナルドはいまだ客数減少に悩まされている。
この違いは、値上げ後の価格が競合品に比べて依然割安かどうかではないか。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
単純値上げにより、一時的な顧客離れは必ず起きます。
そして、顧客は競合品を試すことになり、改めて比較に晒されるのです。
単純値上げを恐れる企業の気持ちが、よくわかります。